今回の記事でも社会問題を取り上げている作品や作者ゆかりのローマに関するユニーク作品を作者の解説付きでご紹介していきます。ぜひ最後までお付き合いください。
人と人との関係

人間関係は、私たちがはめ込まれた巨大な歯車のようなものです。互いにある程度近くにいて、いつもかすめ合うような距離感ではあるけれど、決して本当の意味で触れ合うことはできないのです。
これはとても面白い表現がされていると思います。歯車の中の人間は決して触れ合うことはありませんが、歯車が深く嵌れば中の人間は大きく動かされます。その動きがまた他者の歯車に影響しあって大きな社会の動きが生まれる、そのような大局的な人類の歴史さえ表現されているように思います。
最近歴史を学ぶ機会があり、世界を変えようと行動を起こし社会や人々に大きな影響を与えました人はたくさんいますが、自分の思い通りに世界を動かせた人は一人もいないという事実を知りました。
そのような事実と合わせてみても面白い一作だと思います。
ぶらローマ #04

これは、私が仕事と並行して初めて絵を描き始めた頃の記憶を呼び起こす場所です。かつて友人たちと暮らしていた、プラーティ地区にある建物の屋上テラス。この地区はバチカン市国に隣接しており、多くのテラスからサン・ピエトロ大聖堂のドームが見え、その美しさには息をのむほどです。しかし、私が作品に加えたもう一つの要素は、景観を台無しにしているテレビアンテナの存在です。実際には、もっと多くのアンテナが立ち並び、それがローマの無秩序さを象徴しているようにも感じます。このコントラストが、街の魅力と欠点を同時に浮かび上がらせています。
景観を台無しにしているといえば、日本でも電柱とそこからいくつも頭上を跨る電線はよく話題に上がりますね。
京都などでは無電柱化が進んでいるそうですが、そのような例を除いて大体の電柱は景色を楽しみたい人になっとっては至極邪魔な存在となっていますよね。
しかしそれもまた人間の行いではないでしょうか。という作者の考えが伝わってくるような一作です。
みんなの空間

誰もが遊んだり、働いたり、暮らしたりするための空間を持つ権利があると思います。ですが、もしみんなが同じ空間を共通のルールもなく使おうとすると、状況は複雑になり、この作品のように誰かが傷つくリスクが生じます。
その昔、アメリカの先住民は西欧の侵略者から土地を売ってくれと言われてその意味がわからなかったそうです。
なぜなら彼らにとって土地は人間が所有するものではなく、他の動植物と分かち合う自然そのものだったからです。
我々はいつからか色々のものを所有し、値札を貼り付けるようになり、今では宇宙までその範疇に収めようと試みていますが、正しく状況は複雑になっています。
この作品はそのような所有は誰かの我慢と争いを生むということを示す一作だと思います。
現代の静物画 #03

「静物画(Natura morta)」とは、果物の籠や花瓶、あるいは一般的に無機物を描いた作品を指す伝統的なタイトルです。私はこの作品に、パラドックスを加えようと思い、人間の姿も構図に取り入れました。彼らは果物や野菜の中に紛れ込もうとしており、まるで自分たちが文明としてすでに死んでいることを認めたくないかのようです。しかし、私たちは新しい時代のために、より自然と調和した新しい人間像を生み出す必要があります。
もしかすると、画面の手前にいる人物こそが、そのメッセージを象徴しているのかもしれません。彼は、私たちが目にした瞬間、かすかに微笑んでいるように見えます。
自然との調和と聞くと、それは東洋人にとってとても馴染みの深いものではないでしょうか。
よく東洋美と西洋美の違いを表す例として生花とフラワーアレンジメントが挙げられます。
フラワーアレンジメントがたくさんの花を使って全体を美しく仕立てるのに対して、生花では一輪を立てることを主にしています。ここに人間主体か自然主体かという考え方の違いがあります。
自然主体である場合、そこには自然に対する敬意があります。この敬意というものはあらゆるものが簡単に手に入る現代においてとても大切なことではないでしょうか。
私にはこの絵は自然に対する敬意を忘れた人々の下に現れる魔物のように思いました。
愛しのあなたへ

ロマンチックで普遍的な行為、強い感情の表れ。花を贈ることは、贈る人にとっても、受け取る人にとっても、良いことです。
皆さん花を誰かに贈ったことはありますか。
この前、大阪のある町を歩いていましたら、とてもお花屋さんが多く、しかも大変な賑わいでとても驚きました。
花屋が賑わうなんてとても素敵な町だなぁと思っていたところ、よく見たら置いてあるのは仏花ばかり、実は谷町周辺にはお寺が多く、ちょうど春の彼岸でお参りしている人が多いというだけだったみたいです。
そんな話はさておき、なぜ人間が花を美しいと思うのか不思議だと思いませんか。
それは生物学上の理由でも歴史の過程でもあまり説明できないことのように思います。
効率や生産性という観念がプライベートまで侵食して来ている現代で、花を美しいと思う気持ちは人間が人間であるための最後の砦なのかもしれません。
ハイスピリッツ&ユウからのメッセージ
以上、5作のROMANsアートをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
ROMANsアートは絵そのものもですが、みている内にこちらも何か根源的なテーマを考えさせられる思いがして、また新たな気づきを与えてくれる絵画です。
今後、「ROMANs」作品につきましては、原画の国内取扱いをはじめ、展覧会の企画、企業様とのタイアップ/ライセンシーの募集、アニメーション動画制作などを通し、皆様に愛されるアート・ブランドへと成長することを願い、幅広くプロモーションを行なってまいります。
これからも「ROMANs」作品をどんどんご紹介してまいりますので、そちらもお見逃しなく!
またROMANs以外にも魅力的なアートを取り扱っていますので、興味のある方はお越しくださいませ!