チャールズ・ファジーノ 90年代に描かれた作品をご紹介【明日のドル、明日の世界】【平和への夢イスラエル】【テラーオーバー東京】【KGBがワシントンにやってきた】【マウスインハウス】

今回の記事ではチャールズ・ファジーノ氏が90年代に描いた作品の内5作をそれぞれ紹介していきます。
90年代といえば昔と感じる方、つい最近と感じる方それぞれいらっしゃると思いますが、これらの作品を見るとこの30年ほどでどれだけ世界が変わってきているかということを体感できると思います。

ぜひ最後までお付き合いください!

「明日のドル、明日の世界」

この作品ではアメリカニューヨーク州にある世界の金融センター、ニューヨーク証券取引所とその通りである通称ウォール街をメインにアメリカ経済が世界に与える影響が描かれています。

また下方には90年代の金融市場を操作するウォール街のトレーダーたち、上部には地球と世界の大都市とその中で日夜問わず回り続ける経済の様子が表現されていて、冷戦が終わったことによるグローバル化でさらなる発展を遂つつあるアメリカ経済の活気がこちらにも伝わってくるようですね。

しかし当時ウォール街で花形職業とされていた株式トレーダーの仕事は現在AIに取って代られ、かの有名な投資銀行ゴールドマンサックスのかつて600人いた現物取引トレーダーは今や2人だけだそうです。この絵の中のトレーダーたちはまさか20年後に自分の仕事がなくなっているとは夢にも思っていないでしょうね。
株取引も現在はほとんどネットで行われていますし、そう考えるとこの絵の描かれた時代が取引所として賑わっていた最後の時期なのかもしれません。

「平和への夢イスラエル」

イスラエルを舞台にヨルダンとの国境にまたがる死海や中東有数の世界都市テルアビブが死海文書を模した巻紙の中に描かれた一作です。

多神教の国である日本人にとって宗教にまつわる中東の問題はニュースでこそ聞くけれども簡単には理解できない複雑な歴史的背景が存在がありますよね。
イスラエルとハマスの戦闘やガザ地区への侵攻など現在ニュースで度々報じられているパレスチナ問題ですが、これは今に始まった事ではなく1948年の第一次中東戦争以来、東西各国の思惑も交錯しながら長期に渡ってアラブ諸国とイスラエルは対立し続けています。
古来からイスラエルの地はユダヤ教、キリスト教、イスラム教それぞれにとって重要な場所であるエルサレムを巡り争いの絶えない土地でありますが、そこに多くの国が国益を巡り介入してきたことによって事態はより複雑でもはや取り返しのつかない状況となっています。

この絵が描かれた90年代にも中東で大きな戦争がありました。そしてこの絵の願いも虚しく、また戦乱がこの地で起こっています。いつかこの対立が解消される日が来るという平和への願いがこの絵から感じられます。

「テラーオーバー東京」

東京の街並みが描かれており、ゴジラのような怪獣が東京タワーを倒そうと奮闘しているユニークな作品です。
90年代当初の日本経済はバブル崩壊を受けどうしようもないほど落ち込んでいました。その後現在に至るまで失われた30年なんてことも言われています。勝手な解釈ですが、そのような絶望感や恐怖を怪獣で表現されているともとれそうですね。
或いはこの絵が描かれる2年前には阪神淡路大震災や地下鉄サリン事件など近年あまり類をみないできことが続いたこともこの創作に対する何かしらの影響を与えていたのかもしれません。

「KGBがワシントンにやってきた」

この作品は冷戦が終わってKGB(旧ソ連及びロシアの諜報機関)が首都ワシントンでこっそり隠れていてもジョークとして捉えることができる日がきたことを喜んで作った一作です。
作品の下部、左の方では木に隠れながら偵察をする黒服の男たちがいますが、一方でアメリカ陸軍のエンブレムのついたリムジンに乗る人々は外にお尻を向けています。

冷戦終結後のこの時にはジョークとして捉えられたかもしれませんが、時代が変わりロシアとウクライナの問題でアメリカを含むNATOとの対立が余儀なくされている今ではKGBの諜報活動にお尻を出すだけでは済まされないでしょう。
この時から30年も経たない内にまた激しい戦闘が起こっていることを考えるといかに平和を維持し続けるかが難しいかを痛感させられます。それがこのような時代背景を描いた魅力だと思います。

「マウスインハウス」

「There’s a mouse in the house」と書かれているように90年代はまさに色々な家庭にマウスが出現し出した時代でした。この作品はまるでネズミが増殖するように、一般家庭内に急激に普及した様子をユニークに描いています。
また冷戦が終結したことによる経済のグローバル化も相まってこの時期に今の時代のどこでも誰でも繋がれる基盤が完成したように思います。
そして今やこの箱のように分厚いパソコンは今や存在せず、この時には考えられなかったような新しい通信やインターフェイスとして拡張現実や仮想空間などの時代がこれから訪れようとしています。
この絵から30年間でどれだけテクノロジーが進化したかを振り返り、さらに今後30年でどのような進化を遂げるであろうかを考えてみるのもまた面白いかもしれません。

目次

最後に

以上チャールズ・ファジーノ90年代製作作品のうち5作を紹介させていただきましたが、いかがだったでしょうか?
個人的にこのブログを書くつもりでこの絵に描かれたものや時代背景を調べていましたが、非常に興味深いことが多く寄り道をし過ぎたせいで記事の完成に大変時間がかかりました(笑)
この絵を見てそんなこともあったなと振り返る人もその時代を知らない人も一度調べてみることで今の時代のルーツを知ることができる、その機会を与えてくれるのがチャールズ・ファジーノ氏の絵の魅力の一つだと思います。


またハイスピリッツ&ユウではファジーノ氏の作品以外にも様々な魅力的なアート作品を扱っていおります。
ぜひこれを機会にファジーノ氏の絵画に興味を持っていただき、当社ホームページにてご覧になっていただけると幸いです。
ご訪問のほどお待ちしております!

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