今回の記事でも社会問題を取り上げている作品や作者ゆかりのローマに関するユニーク作品を作者の解説付きでご紹介していきます。ぜひ最後までお付き合いください。
あなたを探しに

この作品は、人生の中で、未来を共に分かち合い、築いていく人を探している時期を伝えたいのだ。ある瞬間、その人は存在せず、私たちは理解できない世界(それゆえ2つの太陽が存在する)、あるいは私たちを理解できない世界で孤独のまま運命づけられている…という信念を持つことができる。しかし、それは一瞬のことであり、探し続ける強さを持つ者だけが幸せな報酬を得ることができる。
「人間は自由の刑に処されている」という言葉があります。
我々が生きる現代では個人や自由というものが当たり前のように存在し、人権という形で保障されています。しかしそれらはいい面ばかりをもたらすものではありません。
我々の前には四方八方、途方もないほどの道が広がっています。それは可能性であり、それと同時にまた悩みの種でもあります。
この絵では、人生の伴侶探しはもちろん、現代において一つの道を定めそれを信じて進むことの難しさというものも表現されていて、またそのような道を歩む人たちの背中を押してくれる作品だと思います。
別のマスクちょうだい

このタイトルは、フリードリヒ・ニーチェの著書『善悪の彼岸』の有名な一節から取られており、非常に興味深い哲学的概念を表しています。
ニーチェの師であるショーペンハウアーによれば、私たちの内には二重の主体性が存在します。一つは「種の主体性」であり、これは個々の人間を利用して種の保存と繁殖を目的とします。もう一つは「個人の主体性」であり、人は自らの計画や理想によって世界を形作っていると錯覚します。しかし、それらの計画は本質的に幻想に過ぎず、種の存続という揺るぎない法則によって生命のリズムが決まっていることに気づかないようになっているのです。
ショーペンハウアーの考えでは、「生命」と「真実」は共存しえません。なぜなら、もし個人の人生の真実が種の存続のための道具であるならば、人間が生きるためには幻想を抱き、「自分」という仮面をかぶることで、その真実から逃れる必要があるからです。
この仮面こそが、人生の有限性や無意味さを耐え抜くためのフィルターです。そして、ニーチェの言葉を借りるならば、それを受け入れることで人は「超人」となり、絶対的な真理への執着を捨て、ただ「自分自身」であることを受け入れることができるのです。
脳神経学の研究では、何か人間が行動をする時、頭で考えるより先に体に電気信号が送られているそうです。つまり自分が「アイスを買いに行こう」と思った時、そう思うより先に体は「アイスを買いに行く」という行動をおこしているのです。
この研究が正しい場合、ショーペンハウアーが言うように自分の人生の選択や悩み、自分個人というのは表面的なものに過ぎず、遺伝子や本能、習慣によって全てが決まっていると言えるのではないでしょうか。
そしてそのような状況でも人間は自分が確立した自分像というアイデンティティに縋らざるをえず、自分像が崩れそうならまた別の自分像を探しに行く・・・。これはそのような飽くなき人間の本質を仮面として表した一作だと思います。
ナゾーネ・ローマ噴水

この作品は、ローマにある典型的な小さな噴水を初めて利用する観光客のためのガイド的な意味合いを持ちます。私たちローマ市民にとって、この噴水は世代を超えて変わらず受け継がれてきたシンボルであり、その形状から「ナゾーネ(大きな鼻)」と呼んでいます。実際、多くの人は最初に使うとき、すぐには飲み方がわからないようです。というのも、下のほうから直接水を飲もうとするとかなり不便で息が詰まりそうになります。しかし、絵にあるように片手で管の下部をふさぐと、別の穴から水が上向きに噴き出し、簡単に飲むことができるようになるのです。
私自身はローマに行ったことはありませんが、このことを知っていればローマのことを知ったかぶれる面白いガイド的一作ですね。ローマに行かれたことのある方には、そうそう!と色々思い出すこともあるでしょうし、行ったことがなくてもコアなローマガイドを描いた作品として面白さが感じられると思います。
木陰の間

ニュアンスを捉える力は、善悪や真偽の区別がしばしば難しいこの世界において、ますます重要になっています。私のこの作品は、そうした微妙な境界の中を心地よく生きられる人々へのオマージュです。
この世界や論理、感情というものの大半はグレーゾーンでできていて、我々人間にははっきり白黒をつけたがる傾向がありますが、グレーはそのままグレーとして受け入れた方がいいこともあります。
この作品は色使いこそ不安を感じさせるようなものですが、描かれた人物はリラックスしているようにも見えます。そこに色々な現象や感情がカオスに混ざり合ったこの世界を、そういうものだと受け入れた時の安寧が表現されているように思います。
SOS

見つけてくれる人に向けた助けを求める声。おそらく、他者に最後の希望を託した遭難者のメッセージなのでしょう。
SNSによって一見他者と繋がりやすくなったように見える現代ですが、一方で近所や地域、より身近な人々との繋がりは希薄になりつつあるように思います。
本当に助けを求めている人のSOSは、この絵のように正面から伝えられるものではないが、このようなSOSが流れてきても多くの人はキャッチしない人間関係の淡白化を表した一作のように思います。
ハイスピリッツ&ユウからのメッセージ
以上、5作のROMANsアートをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
ROMANsアートは絵そのものもですが、みている内にこちらも何か根源的なテーマを考えさせられる思いがして、また新たな気づきを与えてくれ、かつ飾っていてもとても可愛らしく見栄えの良い絵画です。
今後、「ROMANs」作品につきましては、原画の国内取扱いをはじめ、展覧会の企画、企業様とのタイアップ/ライセンシーの募集、アニメーション動画制作、アパレル商品の販売などを通し、皆様に愛されるアート・ブランドへと成長することを願い、幅広くプロモーションを行なってまいります。
これからも「ROMANs」作品をどんどんご紹介してまいりますので、そちらもお見逃しなく!
またROMANs以外にも魅力的なアートを取り扱っていますので、興味のある方はお越しくださいませ!